君は山で迷って、半泣きで地図を見たことがあるかい?

Essay

僕は何回もある。

昔から登山(といっても低山での単独トレッキング)が好きで、奥多摩の山中をウロウロすることが多い。
新宿から一時間。
東京都西部には意外にも鬱蒼たる山林が広がる。

小学生の頃、社会科の副読本、「わたしたちの東京」に檜原村(村!)が紹介されており、
茅葺き屋根の民家や、清流の写真が載っているのを見て、
「こんな秘境が本当に東京にあるのか?!」と思っていた。

長じて、登山を始めて奥多摩へ行くようになるにつれ、あの教科書が脚色でもなんでもなかった事を知る。
奥多摩は奥に分け入ると実に険しく、登山道を歩いていると、物凄い音と共に鹿が崖を駆け下りてきたり、
(僕も鹿も共に驚愕した。3秒くらいお互い固まって見つめ合った後、物凄い勢いで鹿が逃げていった。
僕は腰を抜かしてへたり込んでしまった。。)
突然飛び出した蛇に驚き、滑落したこともあった。
幸い遭ったことはないが、熊も普通に出るし、奥多摩はなかなか恐ろしいとことである。

そして、木々が鬱蒼と茂っており見晴らしが悪い地域が多く、日没までに下山が間に合わず、道に迷い、
真っ暗な森のなか、冷たい氷雨に打たれながら、ヘッドランプの明かりだけで半泣きで下山したこともある。
そんな登山を経験するにつれ、GPSへの興味は必然的に日増しに高まっていった。

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奥多摩。これが東京都だ!

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デジタルバード

時は2000年。ミレニアムに沸き立つころ世間を背に、地味な雑誌を読んでいた僕は、「デジタルバード」という見慣れないガジェットの広告に釘付けとなった。

衝撃だった。当時はスマホはもとより、ガラケーにもGPSは搭載されておらず、高額なGPSの専用レシーバーを使うしかなかった。
そのGPSレシーバーも殆どが緯度経度が数字で出るだけ。

こんな感じ

こんな感じ

そして、紙の地図の上にGPS用のマップポインターを敷いて、自分の位置を割り出すしかなかった。

マップポインター!

マップポインター

 

そんな時代に、このデジタルバードは内蔵メモリに入った詳細な地図が現在位置に併せて動くという、
今のスマホのナビと同等の機能を備えていた。
具体的な値段は忘れたが、非常に高価で、当時学生だった僕は指をくわえて眺めることしかできなかった。

そして、現在。
スマホには当たり前の用にGPSが搭載され、機種によってはロシアの測位システム「GLONASS」まで即位に使える。
だが、山岳地域における地図の使い勝手は2000年からそれほど進歩してはいなかったのだ。
登山で分け入るような山は圏外のエリアが多く、Googleマップやアップルの純正マップはほぼ使えない。
また山域によっては詳細な地形図の提供されていないエリアがある。
登山の場合、国土地理院の詳細な地形図ではないと使い物にならないことも多々ある。

各種アプリを模索し、最近はiPhoneの「DIY GPS」というアプリを使っていたが、
このアプリは地形図のデータを、出かけるたびに自分で用意し、転送する必要があった。

だが。
昨日Twitterを見ていて、ついにこの10年待ち望んでいたアプリを見つけてしまった。
うなソフトさんの作成した無料アプリ「やまログ」である。

このアプリ、あらかじめ選択した区域の全縮尺の国土地理院地形図をキャッシュでき、
圏外の山中でも使えるのだ。

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キャッシュ範囲の選択画面

その他、GPSロガーとしての使用や、距離測定機能など、
アウトドアで使いたい機能がしっかりと入っている。

・簡易的なGPSログ機能
・軌跡表示機能
・距離測定機能(現在地〜指定位置)
・距離測定機能(指定位置〜指定位置)

また、GPSログ取得はバックグラウンドでも動作するとのこと。

多彩な機能!

多彩な機能!

 

この地図を待っていた!

この地図を待っていた!

10年来のやりたかったことが、手元のiPhoneと「やまログ」でいよいよ実現した。
作者の方には本当に感謝である。
アウトドアを楽しむすべての人に教えてあげたいアプリだ。

次回、山に行った際には再度レビューを書きたいと思う。






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