先日の記事で紹介した、世界の飛行機の位置をリアルタイムで見ることのできる、「Flightradar24」がニュースになっていた。
なんでも、首相などが乗る日本の政府専用機の位置情報が筒抜けだったと題する記事だが、そもそもflightradar24では、空中衝突を防止するために航空機が発信するADS-Bという位置情報を元に飛行機の位置を可視化しているだけである。
政府専用機であろうが、信号を出している限り当然位置情報は可視化される。
政府専用機を運用する防衛省は8月に「外部からの指摘」を受けて、Flightradar24の運営に「載せないで」とお願いしたそうだ。
ちなみに、アメリカの大統領専用機、エアフォースワンですらFlightradar24に登場することがある。
運営は、飛行機が一方的に「公開している情報」をそのまま可視化しているだけなのに、実に迷惑な話である。
載せたくないなら、そもそもADS-Bの信号を発信する政府専用機側でコールサインを隠すなどの改修をすれば良さそうなものだ。
民間の運営者に一方的に対応を押し付ける防衛省は実にカッコ悪い。まさかとは思うが、無報酬で消させているとしたら、目も当てられない。
そもそも、外部から指摘され「なんかヤバイらしい」と慌てて対応しているだけなのかもしれない。
現に、今までは政府専用機の位置情報を垂れ流し続けていたそうなので、セキュリティーに対する意識はその程度なのだろう。
幸いにも日本国内で政府専用機が地対空ミサイルの脅威にさらされる事は少ないとは思うが、海外でも重大な航空インシデントが続く中、ちょっと油断しすぎだと感じる。
ちなみに、ADS-Bは1000円ちょっとのUSBデバイスとPCで受信できる。
フライトレーダー24というサイトが無くとも、良からぬ意図を抱いた不逞の輩がいれば、簡単に受信できてしまう。
防衛省も根本から政府専用機の安全対策をして欲しいものだ。
一つの民間のウェブサービスで非表示にしたからといって、解決した気になっていたとしたらそれは恐ろしすぎる。
今回のニュースはオープンデータといえど、思わぬ介入が入ることを示唆した事例である。
利便・娯楽性をもたらすと同時に、セキュリティー上の脅威ともなるオープンデータへの対応。
今後、世界がどのような姿勢を示していくのか、非常に興味深い。
さて、一方的に悪者にされた可哀想なFligtradar24だが、航空機の動きは見ていて本当に飽きない。
先ほども記事を書きながら見ていたら、多くの航空会社が避け気味の北朝鮮上空を堂々と横切る航空機が登場し、思わず見入ってしまった。
ちなみに、このFlightradar24では飛行している任意の飛行機をクリックして、左に出るツールバーの3Dボタンを押すことで、Google Earthのプラグインを利用した3Dビューをリアルタイムに楽しむことができる。