いっ息ができんフーッフーッ → 3Dプリンタで解決!

Essay

個人的に興味津々な3Dのプリンター。
このブログでも何回か取り上げているが、個人でも値段が届くような価格帯になりつつあり、
僕の物欲がうずき始めている。

とは言っても、どうせ買ってもわけのわかない有象無象を数回出力してホコリをかぶってしまうのは分かりきっているので、家電量販店にあるセルフの写真プリンターみたいに、1回いくらで3Dプリントが出来る機器が店頭に登場するのを待つつもりだ。
多分あと1,2年したら出てくると思っているのだが、どうだろうか?

まあ、そんな技術を手にしてもワケの分からないものを出力してしまいそうな僕と違い、
今、3Dプリンタをフルに活用している人々がいる。

医療関係者だ。

例えば歯科領域では、インプラント埋入手術前に顎の骨の形状を3Dの模型として出力し、
オペ前のリハーサルに利用したりする。

また、常に患者の生死に向き合う医科の外科領域でも、様々な用途で3Dのプリンターが活躍している。
今月号のネイチャーダイジェストに3Dプリンターの活躍が載っていたので、紹介しよう。

生後6週間の男の子。突然呼吸が止まってしまう症状が出たそうで、
親は真っ青になって子供を病院に担ぎ込んだ。検査の結果、左側の気管支が生まれつきつぶれていることがわかった。

ここで3Dプリンタが活躍する。

まず、気管をCTで撮影し、その鋳型を3Dプリンタで出力。
次に、出力した気管の鋳型を元に「気管にフィットして安定化させる鞘」をこれまた3Dプリンタで作成した。
(なお、この鞘は2~3年で溶けてしまう材質で出来ている。成長までの時間稼ぎができればそれでいいからだ。)

左の写真の気管の細くなったところを、外側に鞘を巻き保護するそう

(写真引用: New England Journal Medicine   Bioresorbable Airway Splint Created with a Three-Dimensional Printer)

この処置で子供は無事退院し、自宅に戻ったとのこと。

3Dのプリンターを使うアイデアはもちろんのこと、アメリカの食品医薬品局(FDA)が緊急にこのケースを認可したことが素晴らしい。
日本で同様の申請を出して、特例としてすんなり認可されるだろうか。あまり期待はできそうもない。

以前の記事、「ロンドンV&A博物館が3Dプリンターで作った銃を展示」では3Dのプリンタが命を奪う道具、銃を生み出したことを紹介した。
今回はその銃を創りだした3Dプリンターが今度は人の命を救ったケースを紹介した。

殆どの道具は使い方によっては人に有益だったり、害を与たりする。
「3Dプリンタ」もその例に漏れない。規制論はもちろんナンセンスだ。