このブログでも何回か紹介している、「科学技術動向」誌に面白い記事が載っていたので紹介しよう。
お役所の出す文章はことごとくつまらないのが世の常だが、このレポートだけは例外だ。
毎月、発行が楽しみで仕方ない。
今回紹介するのは、「宇宙食の現状と災害食への活用(PDF)」という記事だ。
以前の記事、「マックのクラシック フライチーズとMRE戦闘糧食」でも書いたように、極限の環境で使われるモノは食品であってもガジェットに相通じる機能美がある。
では、孤高の食通、ゴローちゃんと一緒に宇宙食について見ていこう。
まずは宇宙食の種類について。
宇宙食は(中略)フリーズドライに代表される加水食品と、レトルト食品に代表される温度安定化食品が多い。
現在のISS には尿を含む水分のリサイクル装置が装備されており、ISS内で使用した水の 9 割以上がリサイクルされ、飲料水や宇宙食の加水用としても用いられている。
いきなりさらっと凄いことが書かれているが、宇宙空間においては調理するのも一苦労。フリーズドライとレトルトの二本立てのメニューとなる。
調理の手段は2種類。加温もしくは、お湯の注入のみである。
ISS のフードギャレー(食堂)には加温器と注湯・注水器という 2 種類の簡易的な調理装置が設置されている。
前者は食品を挟み込んで電気ヒーターで約 80 ℃まで温める装置であり、後者は約 80 ℃のお湯を宇宙食の注入口から 25 mL 単位で注入する機能を持つ。
宇宙食はこの調理装置を用いて調理するか、あるいはそのままの状態で食べられる必要がある。
現在、国際宇宙ステーションで食される宇宙食には、「標準食」と「ボーナス食」の2種類があるそうだ。
標準食はアメリカとロシアが半分づつ用意。ボーナス食は各国の宇宙飛行士が自国から「お取り寄せ」するものだ。
なお、現在宇宙食として食べれる日本食は以下のリストに詳しい。
宇宙でも国民食としてラーメンは欠かせない。
前述のレポート(PDF)では、保存性、ストレスフルな環境での嗜好品としての質の高さ、そして調理の簡便さから災害時の食料として宇宙食を分析している。
現時点ではコストの問題など課題があるようだが、いずれ高度な宇宙食の加工技術が災害用の備蓄食料に活かされるようになりそうだ。
とても興味深いレポートだったので、興味が湧いた方はぜひご覧頂きたい。