ボイスコントロールと”尻テロ”

Essay
キタコレ!

2013年、12月。

全裸で使っていたお気に入りのiPhone4Sは、固いコンクリートの地面に落下し、画面が逝ってしまった。
薄情な僕はその日のうちにAndroidのXperiaZ1に機種変。
このiPhone4Sは埃を被ったまま、ガジェットの墓場(我が家で壊れたり飽きられたりしたガジェットがぶち込まれる、最果ての地。引き出し数段を占め、数多のガジェットが眠る)で朽ち果てるかと思われた。

しかし、2015年1月。
このiPhone4Sが第二の余生を歩み出すこととなる。

きっかけはインフルエンザ。(←?)
実は20年ぶりくらいにインフルエンザにかかったのだ。
先日の明け方、寒気で目を覚ました僕は驚愕した。身体が産まれたての子鹿のようにブルブル震えて止まらないのだ。
風邪にしてはおかしい・・。

翌日、病院に行ったところ案の定インフルエンザA型との診断。
しかし、最近のインフルエンザ診断は瞬く間に結果が出ることに驚いた。
鼻に綿棒を突っ込んでグリグリし、試薬につけてわずか15分で感染の有無が解る。

てっきりタミフル漬けになるのかと思っていたら、クスリも今や「イナビル」という吸入する粉薬が処方され、二度びっくり。

イナビル。まず①のスイッチを押して吸った後、②のスイッチを押して吸う。 なんとなく悪いことをしている気分。

イナビル。まず①のスイッチを押して吸った後、②のスイッチを押して吸う。 なんとなく悪いことをしている気分。

 

メカメカしいカートリッジに入った粉薬が2カートリッジ処方され、それをいっぺんに吸入し、はいおしまい。
1回吸引するだけで数日にわたってウイルスの増殖を抑えてくれるそうだ。

実際、このクスリを吸入して次の日には38℃あった熱が平熱に!久々にインフルエンザに感染し、治療法の進歩に驚いたのだった。

さて、なんの話だったか・・そう、iPhone4Sが余生をスタートする話をしていたのだ。
このブログの脱線癖も何とかしたほうがいいかもしれない・・。

そんなわけで、自宅で半軟禁状態におかれた年始。
暇を持て余していた僕は「そういえばiPhone4Sって最新のiOS8入れられるんだよな?」と思い立つ。
小人閑居して不善を為す、という奴である。

動作が重くなるだの、アップデートした人は皆後悔!やめろ!などというレビューがワンサカあったので、さっそくインストール。
人柱は天邪鬼なのである。
アップデートした結果、iPhone4Sは見違えるように重くモッサリとした挙動になった。(←)
メイン端末でこれだったら発狂ものだが、メイン端末はXperiaなのでどうでもいい。

さて、ちょこちょこ弄っているうちに、久々にSiriで遊んでみるかと立ち上げたところ・・。
「”Hey Siri”を許可」なる機能が追加されているではないか!

電源コードを繋いでいる間であれば、「Hey Siri」と発音するだけで画面が消えていたり、ロックされていてもSiriを音声だけで起動できる機能である。

僕が語るまでもなく、Siriの精度は非常に優秀だ。
天気の確認、アラームの設定、検索などなど音声だけでかなりのことがスムーズにこなせる。
また、”Hey Siri”というフレーズに続けて、そのまま用件をいっぺんに話しても認識するのには関心した。

てっきり「Hey Siri」→「(ピピッ)お話下さい」→「(用件を言う)」という手順が必要なのかとおもっていたのだが、「Hey Siri東京の明日の天気は?」といっぺんに発音するだけで回答が帰ってくる。
デスクサイドのバーチャルアシスタントとしては非常に優秀だ。
画面がバッキバキの廃棄寸前のiPhone4Sが、今では電源ケーブルが刺された状態で常時待機するようになった。
正直、もの凄く便利である。

"Hey Siri"機能のお陰で現役に復帰した満身創痍のiPhone4S。

“Hey Siri”機能のお陰で現役に復帰した満身創痍のiPhone4S。

手元に使わなくなったiOS8が使えるデバイスがあれば、ぜひ電源ケーブルを繋いだSiri専用機として使ってみて欲しい。
その便利さに刮目する筈である。

さて、タイミングを同じくして今日、Android版の「Google Now」でも、画面消灯・ロック時でも電源に繋いでいれば「OK Google」の発音で完全ハンズフリーで起動できるようになった。

キタコレ!

キタコレ!

 
(ただしSiriのように、「OK Google」の後に続けて用件を言っても認識しないのが弱点。「OK google」→「ピポッ(お話下さい)」→「(用件)」とワンテンポ待たされる)

また、Google Nowの場合は「OK Google」と発音するご主人様の声を聞き分けるため、所有者の音声を学習させる仕様になった。
3回「OK Google」と発音し、ご主人様が誰かを叩き込むことができる。

設定画面

設定画面

 

・・ということは、この機能がないSiriは電源ケーブルが刺さった沢山のiPhoneのある環境で、大声で「Hey Siri!!私は誰!」と叫べば一斉にそれらのiPhoneが「私は〇〇です!」「私は△△です!」「私は××です!」としゃべりだす筈である。

新世代のサイバーテロだ。
とりあえず「尻テロ」と命名するので、上記のような環境がある人に実験して欲しいと思う。

あと、今後のバージョンアップなどで「電源ケーブル非接続時でもHey Siriを許可する」などの設定項目が出来たら、街中で拡声器で叫んだら道行く人のSiriがすべて起動するのだろう。
どんな言葉を叫べば群衆に最も大きな被害を与えられるか・・、尻テロリストの脅威は着々と迫っている。






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