アイトラッキング戦国時代。メーカーがこの先生きのこるには?

Essay

かれこれ5年位前になるだろうか。

当時務めていた会社のある事業部で、WEBサービスのアイトラッキング調査を取り入れたという記事が社内報に載っていた。
写真も掲載されていて、大掛かりな機械を前にアイトラッキング調査をしている風景が紹介されていた。
(当時、莫大な費用がかかっただろう・・。)

あれから時が過ぎ、アイトラッキング機器もだいぶ小型化してきた。
最近ではノートパソコンに装着出来るほどコンパクトになっている。

また同時にライバル出現による価格破壊の波も押し寄せようとしている。

アイトラッキング機器の世界シェアナンバーワンはスウェーデンのトビー社だそうだ。
では、このトビー社の機器はいくらぐらいするのだろうか?
宣伝会議のこの記事によると、
2013年2月に発売された”低価格が特徴”とされる機器で99万円だ。

99万円!

99万円!

一方、以前紹介したtheeyetribeがプレオーダー受付中販売開始したアイトラッキングセンサーは99$である。

99$!

99$!

leapmotionもそうだが、最近は高機能なセンサーが破格の価格で登場している。
ほんの数年、いや数ヶ月で、今までの常識は通用しないくらいの価格破壊が起きるのだ。

では、この先、既存のアイトラッキングメーカーが生き残るにはどうすればいいのだろうか?
(頼まれてもいないのに)勝手に考えてみた。

アイトラッキングが可能なセンサーが単品で手に入っても、実用にはデータ解析のノウハウが必要だ。
ここは前述のトビー社などの先行企業が沢山のノウハウを持っているだろう。

アイトラッキングセンサー、そして解析ソフトウェア。この2つが揃わないことには意味が無い。

そこで、ハードの製造からは撤退。(99万円と99$だからね・・)
解析ソフトの販売、ライセンス契約、そして蓄積されているであろうアイトラッキングの知見を活かしたデータ解析代行といった、コンサルタント的な立ち位置を目指すのが良いのではないだろうか。

センサーが100$くらいなら、例えば契約した在宅の調査員に各個に配ってもいいはずだ。
各種属性のモニターを集め、クライアントから依頼のあったWEBサイトを閲覧してもらい(自宅のいつもと同じ閲覧環境でリラックスして)、
そのデータをレポートにしてクライアントに提出する。
そんなビジネスモデルも作れるような気がする。

こんな仕組みはどうかね?

こんな仕組みはどうかね?

WEBデザインの世界、いや他の分野でも今後アイトラッキングの必要性はどんどん増してくるだろう。
マスメディアの広告が効果を客観的に示せず、客観的な効果測定が可能なネット広告が侵食してきたように、
いままで感性・センスというベールで覆われ、「聖域」とされてきたデザイン界も大きく変わっていくだろう。

デザイナーの独創的なアイデアを抑圧してしまう。そんな意見もあるだろう。
しかし、同時にデザイナーに大きなメリットももたらす筈だ。
自分のデザインをアイトラッキングによってブラッシュアップし、クライアントに客観的なデータを添えて提出できる。
それに魅力を感じる人もいるはずだ。

アイトラッキングに興味がある方は、最近ではスマホを使ってアイトラッキング調査を無料でお試しできるサービスもあるのでぜひ試してみてほしい。
スマホを使って、お手軽アイトラッキング分析!

スマホで撮影した写真をオンラインで分析、こんなヒートマップを出してくれる

スマホで撮影した写真をオンラインで分析、こんなヒートマップを出してくれる

3Mの提供するこのサービスは過去にアイトラッキングセンサーで分析した人の心理学的知見などを活用し、センサーすら無しで撮影した画像を元に分析してくれる。

スマホ等で撮った写真データがあれば分析できるので、対象物はPCの画面だけでなく、例えばお店の売り場全体の風景など、いろいろな応用ができる。
精度によっては将来のアイトラッキング調査の主流になる可能性も秘めている。

アイトラッキング戦国時代はまだ始まったばかりだ。

(関連記事: 「目が、目がぁ~!」アイトラッキング調査に潜む意外な盲点






タイトルとURLをコピーしました