ここ半年で一気に普及してきた、JR東日本、駅構内のハイテク自販機。
陳列棚が大きな液晶画面という未来的な外観から、一時様々なメディアで取り上げられていたが、
今ではすっかり日常の風景として定着してきた。
この自販機は、通常時は液晶画面でCMなどを流し、前に人が立つと商品陳列画面に切り替わる。
また、カメラで前に立った人の年齢や性別を認識し、オススメの商品をポップアップで教えてくれたりする。
↓今日は「スター・トレック」とタイアップして、伊右衛門のアテレコCMが流れていた。。
様々な技術が詰め込まれたこのハイテク自販機だが、
果たして既存の自販機に比べて、売り上げは上がったのだろうか?
個人的な考えだが、売り上げは変わらないか、むしろ減ったのではないかと思う。
普通の自販機なら、かなり遠い距離からでも自販機内に展示されている「飲み物」に目が行くが、
常に小綺麗なイメージ映像が流れるこの自販機の佇まいには、うまく表現できないが、
「本能」をあまり刺激されない。
ガジェットどっぷりな自分が言うのも何だが、
液晶の陳列画面からはドリンク手に持ったときのリアルな重さ、
真夏に飲む缶飲料の冷たさ、心地よさ。
そんなものが不思議と伝わってこないのだ。
真冬、早朝の吹きさらしの寒いホームで普通の自販機に陳列されているコーンスープを見た時の感じ、
あの吸引力が液晶画面にあるだろうか。
技術が進み、各種センサーで様々な分析が出来たとしても、それに準じて訴求力が上がるとも限らないのが広告の面白いところだ。
現在はちょうど、広告の技術が「不気味の谷」に差し掛かっている時期ではないだろうか?
近未来SFでは、街行く人にARの立体ホログラムが商品の訴求をし、無視されるシーンをよく見る。
先進的すぎるテクノロジーを用いた広告は、例えば直接脳波に働きかけるとか、
徹底的に突き抜けた域に達しないと、本能的な嫌悪感を抱かれてしまうのかもしれない。
広告のテクノロジーが不気味の谷を突き抜けられる時までは、
ハイテク技術をあえてローテクで包むことを考えるのも、ひとつの方法だと思う。
ちょっと前、ネットでみかけたこの広告。
歩く人を広告が物理的に追いかけてくるという、ユニークなものだ。
(カナダに登場した、” A LOUER ” という作品だそう。)
カメラによって、通行人の動きをトラッキングする高度な技術も使いつつ、
広告自体は旧来前とした単なる板広告。
だが、この広告に釘付けになる人は後を絶たないようだ。
実際に自分が目にしても絶対に同じように何度も道を行ったり来たりしてしまうと思う。
先端技術を使った広告をあえて「ダサく」見せることで意外な効果が上がるかもしれない。