南北に長い日本列島。
その土地土地の気候風土に育まれた「ご当地グルメ」は活況だが、家電は画一的である。
東名阪に本社を置く大手家電メーカーがいっせーの!で、ドーンと生産するのだから仕方ないといえば仕方ないのだが、なんとなく寂しいし、商機を逃している気がする。
大手メーカーでかろうじて「ご当地家電」と呼べるのは・・・
●関西弁でしゃべるお掃除ロボ
●関西弁でしゃべるカーナビ
不思議なことに「関西弁でしゃべる」だけのどうでもいい家電しかない。
さて、国内では関西弁をかます掃除機でお茶を濁しているシャープだが、国外ではご当地にあった家電を展開し、奮闘している。
これはシャープがフィリピンで販売している洗濯機である。
洗濯槽が並列に2つ付いている洗濯機だ。フィリピンでは洗濯物がすぐ乾くため、乾燥機の需要が少ないことに目をつけたアイデア商品だ。
シャープはASEAN全体での洗濯機のシェア第一位1を占めるそうである。これぞご当地家電。
なぜこの目の付け所のシャープさを国内では活かせていないのか謎である。
また、海外でのご当地家電展開といえばこのメーカー、カシオ。
PROTREKなど、登山で使える気圧計・コンパスなどのアウトドア向けウォッチの先駆けとなった技術はイスラム圏で生かされている。
これは、PREYER COMPASSPREYERという時計。
一見なんの特徴もなさそうなアナデジ時計だが、ボタンワンプッシュで秒針がメッカの方角を指すのだ。
もちろん、礼拝時刻を教えてくれるアラーム機能も内蔵!まさに「神器」と呼ぶにふさわしいメカである。
ところ変わって、こちらはインド。
カシオの電卓、MJ-120Dはインドでの使用に特化した電卓である。
一つ目の特徴は桁表示。3桁ごとにカンマが入るグローバル仕様とは異なり、1,000の桁以上では2桁ごとにカンマが入るインド仕様となっている。
二つ目の特徴は検算機能。150ステップ前までの入力履歴を辿れるようになっている。(普通の電卓は機能が省略されていたり、100ステップ以下が普通)会計後に客の要望に答えて計算履歴を見せるなど、現地の商習慣に沿った作りになっているそうだ。
(この記事に詳しい)
最後はソニーのデジカメ。
「デジカメにご当地関係あるの?」と思うのだが、関係あるらしい。
中国をはじめアジア諸国では自撮り用デジカメのニーズが高いそうだ。
ソニーでは女性の自撮り需要に特化したデジカメを開発、販売している。(日本では未発売)
ゴツゴツした機能美あふれるガジェットとは真逆のスイーツデジカメ市場である。
中国やアジア諸国の女性の多くは、いつでも美しく自分撮りができるよう、スマートフォンとは別に自分撮り用のカメラを持ち歩いています。
こうした美意識の高い女性により魅力的な撮影体験を提供できるカメラとはなにか。
ソニーが考えたのは、高い性能を備えているだけでなく、手にしたときの姿や自分を撮影しているときの佇まいまでもが美しく見えるカメラです。(ソニー公式サイトより)
スマホ用のインカメの画素がここのところ急激に向上しているのはこんな背景も影響していそうだ。
このところ、国内の家電市場に漂う閉塞感。
これを打破するために「ご当地家電」として、地域の特色を活かした製品開発はできないものだろうか。
B-1グランプリならぬ、C(家電)-1グランプリを見てみたいものである。
全自動ワカサギ釣りの穴あけ器(仮)[北海道] VS ハイブリッドゴーヤーカッター(仮)[沖縄] などなど対戦カードを想像しただけで胸が熱くなるではないか。
一方、ベンチャーメーカーに目を向けると、国産の杉材で作ったQi充電器「REST」など、クールなご当地的家電も出始めている。
岐阜は飛騨の持つ木材加工技術を活かした、非接触充電器。
大手メーカー製ではなくとも、思わず欲しくなってしまうデザイン性の高い逸品だ。
↓作り手の想いが伝わるプロモ
もうオリンピックなんて返上して、そのお金でご当地家電を助成したほうがよほど日本の経済成長に繋がると思うのだ。