「消せる色鉛筆」も登場。パイロットフリクションシリーズの功績

Essay
フリクション色鉛筆!オパーツか!

文房具界における、ここ10年で最大の発明品といえば、「消せるボールペン」ことパイロットのフリクションだろう。
編集者として、紙の原稿へ赤入れをする機会が多かった僕は、このペンの登場に狂気乱舞した。

仕事の能率は劇的に向上。
この消せるボールペンの登場は編集者達にとっては、パラダイムシフトとも言える衝撃をもたらし、瞬く間に普及していったのである。

文具界のパラダイムシフト

文具界のパラダイムシフト

このペンで書いた文字が消せるのは、そのインクの仕組みにある。
1975年に基本原理が発見されていた「メタモカラー」というインキを改良研究して作られたインクの消える原理は次のようなものらしい。

 

メタモカラーの原理は、ロイコ染料、顕色剤、変色温度調整剤を一つのマイクロカプセルの中に均一に混合し、封入して顔料化したものです。ロイコ染料とは、黒、赤などの色を決める成分ですが、単体では発色しません。しかしこれを顕色剤と化学的に結びつけると、黒、赤などに発色する特性を有しています。
メタモカラーの最大の特徴は、ロイコ染料と顕色剤が封入されたカプセルの中に、さらに変色温度調整剤という材料を追加したことです。変色温度調整剤の種類を変えることで、インキ(マイクロカプセル)が変色する温度を自由に選べます。

(PILOT公式サイトより。詳しい仕組みの説明はこちらに)

このボールペンの開発に成功するまでは、お酒のビンなどの温度を知らせる用途(例えば10℃になると「飲み頃」という文字が現れる)などで使われていたという。

さて、このフリクションボールペンで書いた文字は、60℃になると消える。
消す時は、ボールペンの反対側についているゴムの摩擦熱で文字を消していることになる。

この特性は諸刃の剣である。
例えば、赤入れをした原稿を賊に奪われ、サウナに逃げ込まれたら・・・万事休すである。

「おい60℃以上だぞ!!」

「おい60℃以上だぞ!!」

・・と今までは思っていた。
そのため僕は必死で、赤入れ済みの原稿をサウナにぶち込もうと企む賊に細心の注意を払っていたのである。

しかし、実はこの心配は杞憂だった。
もしこのような事態が起きても(普通起きない)秘密の裏ワザが合ったのである。

それは、字の消えてしまった原稿を冷凍庫に入れるだけ。
半信半疑の人、待って欲しい。

これはパイロット公式サイトに載っている方法なのだ。

公式の解説だよ!

公式の解説だよ!

賊に原稿をどうこうされる事は少ないかもしれないが、夏の車の中に置き忘れたりしてフリクションボールペンで書いた文字が消えてしまった時はまずは頭を冷やすよりも、そのノートを冷やせばいいのである。

20へぇ

20へぇ

さて、今回突然フリクションボールペンについて熱く語ってしまったのは、このフリクションシリーズで「消せる色鉛筆」が出ていると知ったからである。

まさかのフリクション色鉛筆!オーパーツか。

フリクション色鉛筆!オーパーツか!

今回発売の『フリクションいろえんぴつ』は、「フリクション」 シリーズの新カテゴリーとして摩擦熱で筆跡を無色にする、これまでにない色鉛筆です。鉛筆後部の消去用ラバーで擦ることで生じる摩擦熱により筆跡をきれい に消すことができます。ぬり絵で枠からはみ出したり、間違った色で塗ってしまっても安心です。また、消しカスが出ないため、リビングルームなどでお使いい ただいてもテーブルや部屋を汚すこともありません。芯はもちろん、通常の色鉛筆と同じく鉛筆削り器やナイフで削ることができます。

日本中の家庭では、今日もテーブルや壁に色鉛筆で落書きをしようと企む幼児と、親との神経戦が繰り広げられている。
その不毛な争いを終わらせる文具が、密かに誕生していたのであった。






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