そこはかとなくラピュタっぽいこの光景。
丸の内ブリックスクエアにある、「ドライミスト噴霧装置」である。
緑化された柱から吹き出る霧と相まって、なかなか不思議な光景を醸し出している。
(通りがかりの子どもたちは大はしゃぎ!)
最近、いくつかのスポットで見かけるようになってきたこのドライミスト。
水を細かい霧状にして噴射することで、気化熱を利用して気温を下げる効果があるという。
10年以上前、ニフティーの人気コンテンツ「デイリーポータルZ」に「サンノゼにんにく祭り」という記事が掲載された。
デイリーポータルのWEBマスター林氏と、アメリカはシリコンバレーに滞在する「熊くん」というライターさんが、アメリカ生活の中で感じるカルチャーギャップを対談で紹介する実に楽しい連載記事だった。
この記事の中で、「シャワーハウス」というテントが登場していた。↓
この記事を読んで、当時は「ふーん、海外には面白いものがあるんだな」と思っていた。
ちなみに、日本では2005年に「愛・地球博」で初めてドライミストが登場したようだ。
上の記事でデイリーポータルの林氏が、『日本だと「湿度を上げるな!」と怒られそうですね。』と言っているが、確かにそんな気がする。
実際、涼感を感じるのはドライミストの下を通っている僅かな時間だ。少し気になったのでもう少し調べてみた。
「霧」を使うという性質上、使用できる気候条件がシビアなようで、
例えば秋葉原に設置されているドライミストの稼働条件は、
”気温27度以上、湿度70パーセント以下、風速3メートル以下”だそうだ。
これでは、ちょっとした風向きの変化、湿度の急激な上昇など、条件によっては涼を得るはずのミストが、
蒸し風呂地獄を作り出す可能性も大いにあるのではないだろうか?
僕は基本的には疑い深い、嫌なヤツなので、さっそくググってみる。
疑問点にズバリ答えてくれる論文が見つかった。
高温多湿と言われる日本の夏は、ミストを噴けば湿度が上がり、不快感が増すのではという意見もあった。
確かにミスト噴霧によって相対湿度は上がるが、調べてみると、夏季の都市の湿度は意外と低い。
夏季の晴天時であれば、日中の相対湿度はせいぜい 50~55%程度であり、70%を超えることはそれほど多くない。
名古屋だと、気温が 30℃を超え湿度が 70%を超える時間はわずか 13時間(2001年)と 0時間(2002年)である。(引用: 愛知万博がもたらしたもの : ドライミストの蒸散効果を用いた夏期の暑さ対策 NII論文ID(NAID) :10024755132)
うん。データで示されると何とか納得できる。
時には湿気でベトつくこともあるだろう。
だが、野暮なことは言わず、さながら風鈴の音から涼を感じ取るように、
「風流ですな、日本の夏、日本のドライミストの噴霧音」
的なことが言える境地に達するまで、精進したいと思った夏の終わりである。