登場した時から個人的に興味津々だった、パイオニアのヘッドアップディスプレー付きのサイバーナビ。
戦闘機のようなHUDを普通の車でも搭載できるという尖ったコンセプトに「ここまで来たか」と落涙したものである。
↑とにかくカッコいい
惜しむらくは価格。20万円超えの価格にはなかなな手をだす勇気がでてこない。
手持ちのスマホだけで「目的地に到達」するという最低条件は満たせてしまう今、高価なカーナビ専用機への敷居は高い。
(余談だが、筆者は10年以上前の学生時代、某メーカーのカーナビを店頭で販売するバイトを長くやっていた。そのころは30万、40万円するナビがポンポン売れていた。今考えると凄い時代である)
ところが先日パイオニアの出したプレスリリース、「パイオニア 車載用ヘッドアップディスプレイ(HUD)を海外でも販売開始」を見て、僕は息を飲んだ。
海外で発売されるパイオニアの製品は、HUD単品で、ナビ本体の機能はスマホで代用するというコンセプトなのだ。
HUD部分単体(ND-HUD1: 日本では10万円程度)とスマホアプリとの組み合わせだけでナビを実現させたのが欧州版の特徴だ。
ちなみに対応しているアプリは「CoPilot Live」と「iGOprimo」というアプリである。
(双方、日本対応はしていないようだ。)
以下がパイオニアヨーロッパがアップしている動画である。iPhoneと接続し、ナビをしているイメージ映像だ。iPhoneとの接続は残念ながらワイヤレスはなく、ケーブル接続である。
現状、車でナビをするには、
1.カーナビ専用機を使う
2.スマートフォンを使う
3.スマートフォン+HUDなど外部表示デバイスを組み合わせる
の3つのパターンが主だろう。日本では既にカーナビ専用機がガラパゴス的に高機能に進化しすぎ、1のパターンが中心だが、日本に比べてナビの普及が遅れていた海外では、簡易ナビやスマホを代用として使うパターンが多かった。
海外のカーナビ事情
日本が世界一のカーナビ大国であるといわれていた当時は、海外では車輌の航法システムは軍事用や救急車両のような緊急車両用が主流であり、民生用としては趣味品あるいは一部の技術的趣向者むけとしての位置づけが強かった。その後、現れた簡易型のカーナビともいえるPNDは、タクシー業者をはじめ個人でも普及しており、インダッシュ型のAV機能などの付加価値付きカーナビはもっぱら高級車に限定して普及している状況である。(Wikipedia)
そしてここに来て海外では、以前の記事で書いたようにHUD+スマホアプリという組み合わせが一気に台頭してきた。
一時期世界の先頭を激走していた日本のガラケーがスマホに見る影も無く駆逐されたように、
カーナビ専用機がスマホに駆逐される日も近いのかもしれない。
地図の更新だけで毎年何万円もかかるカーナビ専用機は、かつてiモードなどで顧客をがんじがらめにしていたガラケーの過去と重なる。
無料で利用できるGoogleMapがカーナビ専用機を駆逐したとしても、まったく不思議ではないだろう。
現時点ではパイオニアのこのナビも有料の地図アプリを使う必要があるが、Google mapやiPhoneのナビをそのまま使えるHUDが出てくるのは時間の問題だ。
わずか数年で世の中のトレンドがガラッと覆される状況。乗り遅れたメーカーに待っているのは衰退のみ。
恐ろしい時代が来たものである。